少し挑発的なタイトルですね。
先日、2ヶ月ちょっと掛けて所有するゲームを管理するWEBサービスTUMIGAME(詳細な内容は過去記事をご覧ください)をリリースしたのですが、リリースするまでに掛けた時間や費用などを鑑みて、個人開発でお金を稼ぎたいとか一攫千金を狙っている人はやめた方がいいという結論に至りました。
今回は個人開発をやめた方がいい理由をまとめてみました。
※大前提として、副収入のためだけに個人開発をするのはおすすめしないという意味で、技術力向上や開発自体が好きな方は別です。
※TUMIGAMEをリリースしてから1ヶ月ほどでユーザー数は未だ0という状態での記事です。
圧倒的な作業ボリューム
個人開発の場合、ほとんどあるいはすべての作業を一人でやる必要があります。
例えば企業であるサービスを作る場合、サービス企画とマネタイズを考えてプロダクトの用件定義と設計を行い、デザイナーが素材を作りプログラマーがコードを書いてテストまで行うのが一般的だと思います。
規模が小さいとはいえ、大袈裟に言うとこれらをすべて一人で行う必要があります。
サービス企画、マネタイズ考慮、マーケティング、デザイン設計、ロゴの作成、DB設計、インフラの構築、開発フレームワークの勉強、コーディング、テスト、利用規約やプライバシーポリシーを考えたり、SEOなど。
知見の無い分野も勉強し実践する必要が出てきます。
とてもではないですが、時間がいくらあっても足りません。
ましてや本業がある手前、副業でこれらに割く時間はほんの僅かなものになりがちです。
解決策として、リリース時は最低限の機能を担保しつつ、ある程度の妥協ラインを設定し優先度を決めて作業をすることになります。
それでも作業期間中は仕事と睡眠以外の時間をすべて充ててやっとでした。
収益がコストに見合っていない
上述したとおり、個人開発するにあたっては作業ボリュームが多すぎます。
収益化できるかどうかも分からないですし、ぶっちゃけコストに全然見合っていないように思います。
僕は10年ほど前に、アダルトサイトを2つ運営していたことがあります。
特に知見とかは無かったのですが、コツコツ更新し続けて1年ほど経ってから月に4万円前後ほどは貰えていた記憶があります(うろ覚えなので金額は曖昧です)
もちろんサイトを運営するにあたりそれなりの努力はしましたが、今回個人開発を実際にしてみて比較すると圧倒的に作業量が少ない上に、現状では収益もアダルトサイトの方が良いので、どうしてもコストに見合っていないという結論に至ります。
※アダルトサイトの場合、立ち上げて6ヶ月以降は週に1回1時間未満の更新、もうひとつの方は週に2回4時間ほどの更新頻度でした。
※アダルトサイトも1年ほど続けて収益化できたので、個人開発も続けていくうちになるかもしれませんが…。
マネタイズが中途半端にならざるを得ない
正確にはマネタイズが中途半端にならざるを得ない『ことの方が多い』印象です。
企業がお金も人も時間も掛けて作ったサービスと張り合うにはそもそも土俵にすら立てません。
なので、企業が作るにはマネタイズが微妙なものを作るしか個人開発者が生きる道はないというのが僕の見解です。
企業は多くの人間の課題を解決するサービスを作るので、少ない人間の課題を解決するサービスを作るのが大原則かなと思っています。
またそうなると、わざわざお金を払ってまで使うサービスにはならない事の方が多いです。
僕がリリースしたTUMIGAME(主に積みゲーを管理することを主目的としたサービス)もそうです。
たとえ月額300円とか安く設定しても、誰も使わないでしょう。
それならあと100円ほど出してdアニメに契約します。
アニメ見放題ですからね。
無料で使ってもらうことを前提にマネタイズをする必要があります。
そう考えると、広告収入くらいしか道はないですよね。
収益モデルとして圧倒的に不利
WEBサービスの場合、ある程度の人に認知してもらい、使ってもらう必要が出てきます。
アプリとは違い、WEBサービスの性質上(検索上位を狙って人を増やしていく)競合となるのはブログやアフィリエイトサイトになります。
認知してもらうためにSEO(グーグルの検索上位にHITしやすいように施策をすること)をすることになるのですが、ここでも落とし穴があります。
ログインして使ってもらうサービスだと、ログイン後のコンテンツがSEOの施策がしづらい(というかできない?)のです。
ブログとかアフィリエイトの場合、物凄く簡略的に言うとコンテンツの量と更新さえすればある程度収益化できるモデルです。
これはグーグルのクローラが、検索時にHITさせるためのコンテンツを徘徊してインデックスに登録をしているおかげで、検索エンジンでこれらのコンテンツが表示されるようになるからです。
一方でWEBサービスはログイン後のメニューはグーグルのクローラに徘徊してもらうことができません(多分…間違っていたらすみません)
ログインせずに表示しても良い利用規約やプライバシーポリシーなどしかクローラにインデックス登録してもらうことができないため、検索からの流入はほぼ絶望的です。
グーグルの検索エンジンはコンテンツ量が少なく更新頻度が少ないものを嫌う傾向にあります。
踏んだり蹴ったりです。
個人開発をするメリットは?
全く無いわけではないです。
- 技術力が向上する
- マーケティングスキルを養える
- あらゆる物事の本質を見極めるスキルを養える(多分)
- 自信が付く
- あらゆる分野の知見を得られる
- 問題解決能力が飛躍的に向上する
技術力の向上は言わずもがなだと思いますが、それ以外のメリットの方が大きいかなと思っています。
なかでも問題解決能力が飛躍的に向上したことは、今後の人生において財産になり得たと思います。
問題解決ができないの大半はめんどくさいからやらない(そもそも問題を解決する気が湧かない)と思っているんですが、このめんどくさいと向き合えるようになります。
個人開発はめんどくさいの連続なので、物凄く鍛えられます。
他にも、開発中はどうしてもうまくいかない問題も出てきますが、本質を見失わずに違う方法で解決できないか模索できるようになります。
当初はTrelloというプロジェクト管理ツールのレイアウトをパクろうと参考に画面レイアウトを作っていたのですが、いざ実装するとなかなか思うようにはいかず、何日も作業が進まない時がありました。
その時に「そもそもレイアウトを寄せる必要ないのでは?」と考え、画面レイアウトを一から設計し直しました。
視認性も向上したので結果的には良かったです。
これは一例ですが、いざ開発をするとなると想像以上に壁が多いことに気付かされます。
エンジニア目線でTUMIGAMEを企画した時に「開発するのにそんなに難しくはないだろう」と思っていましたが、いざ開発を始めると山のように問題があり、その度にひぃひぃ言いながら作業しました。
知っているのとできるの違いを思い知らされました。
他にも、個人開発を通してあらゆる物事の本質を見極めることができるようになります。
上述したように、集客とかマネタイズを考えるときに自分がどのようなものにお金を使っているか、他の人はどういうものに使っているか、人はどういう時に気持ちが良いと感じるのか、それをこちらから提供するにはどうすれば良いのかなど、サービスを提供する目線で様々なことを熟慮するようになります。
企業が作ったサービスではなく、個人で作ったサービスを使ってもらうにはどうすれば良いのか?
↓
そういえば商店街の魚屋で魚を買っていた時は気さくな店員さんがいてオマケしてもらっていたなあ
↓
そうか…個人商店を目指せば良いんだ!
のように、いろんな物事に対して疑問を持ち、解決する能力が身につきました。
これはなにも個人開発に限定されたものではなく、人間関係や労働などのすべてにおいて応用が効くので、貴重な財産になったと思っています。
ありていにいうと考えまくるスキルですね。
最後に
個人開発はやめた方がいいというテーマで記事を書きました。
実は開発を始める前から「割に合わないだろうな」とは思っていたのですが、やってみないことには何も言えないし始まらないなという気持ちで始めました。
ことわざにこんな言葉があります。
馬には乗ってみよ人には添うてみよ
馬は実際に乗らないと良し悪しが分からないし、人には寄り添わないと人柄が分からないから、直接経験をすることが大事だという意味です。
とはいえ技術力を向上させたいとかポートフォリオを完成させたいとか、明確な目的がお金以外にある場合を除いて、やめた方がいいという結論は変わりません。
あまりに面倒です…ほんとにw
僕はお金のために開発を始めたクチですが、まだ続けるつもりです。
作ってるうちに「お金とかどうでもいい、誰かにサービスを使ってもらいたい」という気持ちの方が強くなったというのもあります。
「作っちゃったから」という後ろ向きな考え方もありますし「個人開発で生計を立てている人」という希少性を保有することで得られるメリットに期待しているという思惑もあります。
最後になりましたが、このような乱文な記事を見てくださりありがとうございます。
少しでも参考になれたなら嬉しいです。